クロマキーとは違う?XRスタジオ・バーチャルスタジオの魅力とは
テレビ番組やCM、最近ではYouTubeや配信イベントなど、映像表現はますます進化しています。その中でも注目されているのが「XRスタジオ」や「バーチャルスタジオ」と呼ばれる空間です。
ところで、よく聞く「クロマキースタジオ」とは何が違うのでしょうか?
今回は、映像制作の基本から違い、XRならではの利点まで、わかりやすく解説します。
■まずは基本|クロマキースタジオとは?
クロマキースタジオは、背景が一面「緑(または青)」になっているスタジオです。人物や物体をこの緑色の前で撮影し、あとからその背景を別の映像に差し替える技術を「クロマキー合成」といいます。
テレビの天気予報や、YouTuberの背景を差し替える動画などでよく使われています。
▼ポイント
・背景が一色(主に緑)のため、合成しやすい
・撮影後に背景を合成(リアルタイムでの演出には不向き)
・照明や衣装に注意が必要(緑が入ると抜けてしまう)

■XRスタジオ・バーチャルスタジオとは?
一方、XRスタジオやバーチャルスタジオは、リアルタイムでCG背景と人物を合成できる最新技術のスタジオです。背景はクロマキーのように一色ではなく、LEDビジョンや仮想空間上に構築された3D背景を使います。
カメラの動きに合わせて背景も連動して動くので、まるで本当にその空間にいるような自然な映像が撮れるのが特徴です。




▼XR(クロスリアリティ)とは?
AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)など、現実とデジタルを組み合わせた技術の総称です。XRスタジオは、これらを映像制作に応用したものと考えるとわかりやすいです。
■クロマキーとの違いと、XRのメリット
比較項目 | クロマキースタジオ | XRスタジオ・バーチャルスタジオ |
---|---|---|
背景表現 | 単色(緑や青) | CGやLEDの3D背景 |
合成方法 | 撮影後に編集で合成 | 撮影時にリアルタイム合成 |
カメラとの連動 | 固定が基本 | カメラの動きに合わせて背景も変化 |
映像の自然さ | 違和感が出やすいことも | 奥行きや光の表現が自然 |
制作の効率 | 撮影後の編集に時間がかかる | その場で完成形に近い映像が撮れる |
使える空間 | 実際のスタジオサイズ内 | 仮想空間で広がりのある演出が可能 |


■XRスタジオが注目される理由
1.制作効率が高い
撮影後の編集に時間がかかるクロマキーに比べ、リアルタイムで背景が合成されるXRでは、その場でほぼ完成形の 映像を確認可能。撮り直しも減らせます。
2.演者の表現が自然に
目の前にリアルなCG背景があることで、演者も空間をイメージしやすく、動きや演技がしやすくなります。
3.空間演出の自由度が高い
現実では不可能な世界(宇宙、未来都市、ファンタジー空間など)も自由に再現でき、かつ自然に見えるのが大きな魅力です。
4.ライブ配信やイベントと相性◎
リアルタイム合成ができるため、ライブ演出やリアルタイムのイベント中継にも活用されています。
■まとめ
クロマキースタジオは、長年使われてきたスタンダードな映像制作手法。一方、XRスタジオ・バーチャルスタジオは、それをさらに進化させた新しい技術です。
リアルとデジタルの融合によって、より自然で、よりダイナミックな映像表現が可能になりました。
今後の映像制作では、クロマキーとXR、どちらも場面に応じて使い分ける時代になっていくでしょう。